どちらを選ぶべき?額のシワ対策には医薬部外品と化粧品のどちらが効果的か解説

どちらを選ぶべき?額のシワ対策には医薬部外品と化粧品のどちらが効果的か解説

額にシワができると、実年齢以上に老けた印象を与えてしまうことがあります。鏡を見るたびに気になって、ドラッグストアで「シワ改善」「エイジングケア」と書かれた商品に手が伸びる方も多いのではないでしょうか。

そのときに迷うのが、「医薬部外品」と「化粧品」のどちらを選べばよいのかという問題です。結論からお伝えすると、シワへの有効性が国から認められているのは医薬部外品であり、予防的なうるおいケアとしては化粧品にも一定の意義があります。

この記事では、皮膚科学の知見に基づきながら両者の違いをわかりやすく整理し、あなたの肌悩みに合った選び方を丁寧にご案内します。

額のシワができる原因を知れば正しいケアが見えてくる

額のシワ対策を始める前に、シワがなぜ生まれるのかを押さえておくと、自分に合ったケアを判断しやすくなります。額の横ジワは、表情筋の繰り返し動作と加齢による肌内部の変化が組み合わさって深くなっていきます。

加齢でコラーゲンが減ると額の皮膚は支えを失う

肌のハリや弾力を支えているのは、真皮にあるコラーゲンやエラスチンといった線維状のたんぱく質です。20代後半からこれらの産生量は少しずつ減り始め、40代以降になると目に見えてハリが低下していきます。

コラーゲンが減ると、皮膚の土台がやせ細った状態になるため、表情をつくったときにできる折りジワが元に戻りにくくなります。

額は顔の中でも面積が広く、前頭筋(ぜんとうきん)という筋肉が眉を上げ下げするたびに皮膚を折りたたむ動きをするため、シワの刻まれやすい部位といえるでしょう。

紫外線ダメージが「光老化」としてシワを加速させる

紫外線は肌老化の大きな原因のひとつで、医学的には「光老化(ひかりろうか)」と呼ばれています。紫外線のうちUV-Aは真皮にまで届き、コラーゲンやエラスチンを分解する酵素の産生を促進します。

要因影響が及ぶ層シワへの関与
加齢(内因性老化)真皮・表皮コラーゲン減少で肌がたるむ
紫外線(光老化)主に真皮弾性線維の変性・分解
表情筋の動き皮下〜真皮同じ部位の繰り返し折れジワ
乾燥角層〜表皮小ジワ・ちりめんジワの原因

乾燥による小ジワと深いシワでは対処が異なる

角層の水分量が低下すると、肌表面に細かいちりめんジワが現れます。乾燥ジワは保湿だけでも改善が期待できるため、化粧品でのケアが向いている段階です。

一方、真皮のコラーゲン減少に由来する深いシワには、保湿だけでは十分とはいえません。

このように、シワの深さや原因によって有効な対策が変わるため、まずは自分の額のシワがどのタイプなのかを見極めることが大切です。

医薬部外品と化粧品はそもそも何が違うのか

シワケア商品を選ぶ際にもっとも混乱しやすいのが、「医薬部外品」と「化粧品」の区分です。両者は法律上の位置づけが異なり、配合できる成分の濃度や表示できる効能の範囲に明確な差があります。

医薬部外品は「シワ改善」を名乗れる唯一のカテゴリー

日本の薬機法(旧薬事法)では、医薬部外品は「医薬品と化粧品の中間」に位置する製品として定められています。厚生労働省が有効成分の効能と安全性を審査し、承認を受けた製品だけが「シワを改善する」という効能表現を使えます。

たとえば、レチノール(ビタミンAの一種)やナイアシンアミド(ビタミンB3の一種)、ニールワンなどの有効成分は、シワ改善の効能で承認を受けた代表的な成分です。有効成分が一定の濃度で配合されている点が化粧品との大きな違いになります。

化粧品は肌を「清潔にし、美化し、健やかに保つ」もの

化粧品は、薬機法上では「人体に対する作用が緩和なもの」と規定されています。肌の保湿や保護、美容上の整えを目的としており、「シワを改善する」とは表現できません。

代わりに「乾燥による小ジワを目立たなくする」という範囲での効能表示が認められています。

つまり、化粧品が対応できるのは主に乾燥が原因の浅いシワであり、真皮レベルの深いシワに対しては医薬部外品のほうが踏み込んだ働きかけができるといえます。

額のシワケアで失敗しないために制度上の違いを押さえておく

パッケージに「薬用」と書かれていれば、それは医薬部外品です。化粧品には「薬用」の表記はなく、成分表示のルールも異なります。制度上の違いを知っておくだけで、広告に振り回されず冷静に商品を選べるようになります。

項目医薬部外品化粧品
法的区分薬機法で承認が必要届出制
効能表示「シワを改善する」と表記可能「乾燥による小ジワを目立たなくする」まで
有効成分一定濃度で配合義務あり配合濃度の規定なし
パッケージ表記「薬用」「医薬部外品」の記載あり記載なし

シワ改善の医薬部外品に配合される有効成分を整理した

医薬部外品に配合される有効成分にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる仕組みで額のシワに作用します。自分の肌質や悩みに合った成分を選ぶために、代表的な有効成分の特徴を整理しておきましょう。

レチノールはコラーゲン産生を促してシワにアプローチする

レチノールはビタミンAの一種で、肌に塗ると体内でレチノイン酸に変換されます。レチノイン酸は線維芽細胞(せんいがさいぼう)に働きかけ、コラーゲンやヒアルロン酸の産生を促すことがわかっています。

日本では2017年にレチノールを有効成分としたシワ改善クリームが初めて承認され、大きな話題となりました。使い始めは乾燥や赤みなどの刺激を感じる場合もあるため、少量から始めて肌を慣らすのが基本です。

ナイアシンアミドはシワだけでなく美白ケアにも使われる

ナイアシンアミドはビタミンB3の一種であり、コラーゲン産生の促進だけでなく、メラニンの生成抑制やセラミド合成の促進など幅広い作用が報告されています。シワ改善と美白の両方の効能で承認されている点が特徴です。

有効成分主な作用承認効能
レチノールコラーゲン・ヒアルロン酸の産生促進シワ改善
ナイアシンアミドコラーゲン産生促進・メラニン抑制・セラミド合成促進シワ改善・美白
ニールワン好中球エラスターゼの活性抑制シワ改善

ニールワンは日本発のシワ改善成分として注目を集めた

ニールワン(NEI-L1)は日本のメーカーが開発した成分で、真皮のコラーゲンなどを分解する酵素「好中球エラスターゼ(こうちゅうきゅうエラスターゼ)」の働きを抑える仕組みです。

2017年に初のシワ改善医薬部外品として承認を受け、市場に大きなインパクトを与えました。

レチノールと異なり刺激が少ない傾向にあるため、敏感肌の方にも試しやすい成分として支持されています。ただし、効果の出方には個人差があり、数か月単位での継続使用が求められます。

化粧品に含まれるエイジングケア成分にはどこまで期待できるか

化粧品にも肌のハリや弾力にアプローチする成分は配合されていますが、医薬部外品のように「シワを改善する」とは表記できません。とはいえ、保湿や肌のコンディションを整えるという面では、日常的なスキンケアの土台として十分に活用できます。

ペプチドは肌にハリを与える成分として研究が進んでいる

パルミトイルペンタペプチド-4(マトリキシルの名称でも知られています)やアセチルヘキサペプチド-8(アルジルリンの名称でも知られています)など、美容分野で使用されるペプチドは数多くあります。

これらは線維芽細胞を刺激してコラーゲンの合成を促す「シグナルペプチド」や、筋肉の収縮を穏やかにする「神経伝達抑制ペプチド」などに分類されています。

海外の臨床試験ではシワ深度の改善が報告された例もありますが、いずれも小規模な試験が中心です。日本の薬機法上、化粧品としてのペプチド配合品には「シワ改善」の表記は認められていない点を覚えておきましょう。

ヒアルロン酸やセラミドは保湿に特化したサポート成分

ヒアルロン酸は1gで約6リットルの水分を抱え込むとされる保湿成分で、角層の水分保持に優れています。セラミドは角層の細胞間脂質の主成分であり、バリア機能を支える土台です。

これらは肌の乾燥を防ぎ、乾燥由来の小ジワを目立たなくする効果は期待できますが、真皮のコラーゲンに直接作用するわけではありません。深いシワに対しては、あくまで補助的な存在として捉えるのが妥当でしょう。

ビタミンC誘導体は抗酸化作用を通じて肌を整える

ビタミンC誘導体はメラニンの生成を抑えるほか、コラーゲンの合成をサポートする作用が知られています。

化粧品に配合される場合はやや穏やかな作用にとどまりますが、紫外線ダメージによる酸化ストレスから肌を守るという点では日々のケアに取り入れる価値があります。

  • ペプチド:線維芽細胞への信号伝達やコラーゲン産生を促す研究報告あり
  • ヒアルロン酸:角層の水分保持に優れ、乾燥ジワの軽減に貢献
  • セラミド:バリア機能の補強を通じて肌荒れや乾燥を予防
  • ビタミンC誘導体:抗酸化作用とコラーゲン合成サポート

額のシワに医薬部外品と化粧品を賢く使い分ける方法

医薬部外品と化粧品はどちらか一方だけを使うのではなく、それぞれの長所を生かして組み合わせるのが効果的です。額のシワの深さや肌の状態に応じた使い分けのポイントをご紹介します。

浅い乾燥ジワには保湿重視の化粧品で十分対応できる

お風呂上がりに額をよく見て、保湿後にシワがほとんど消えるようであれば、それは乾燥が主な原因の浅いシワです。この段階であれば、ヒアルロン酸やセラミドを配合した化粧品でしっかり保湿するだけでも見た目の改善が見込めます。

保湿ケアを続けると角層のバリア機能が整い、シワの進行を遅らせる効果も期待できるでしょう。若いうちからの予防ケアとして化粧品を活用するのは理にかなった方法です。

くっきり刻まれたシワには医薬部外品が頼りになる

保湿しても消えない、真皮レベルに達した深いシワには、レチノールやナイアシンアミドなどの有効成分を配合した医薬部外品が適しています。

医薬部外品は有効成分の濃度が管理されており、シワ改善効果について国の審査を通過しているため、信頼度が高いといえます。

シワの深さ推奨するケア選ぶべき製品
浅い乾燥ジワ保湿中心のスキンケア化粧品(ヒアルロン酸・セラミド配合)
中程度のシワ保湿+有効成分のケア医薬部外品と化粧品の併用
深い真皮性シワ有効成分による積極ケア医薬部外品を中心に選ぶ

医薬部外品と化粧品の併用で相乗的なケアを目指す

たとえば、化粧水と乳液は保湿力の高い化粧品を使い、シワが気になる額にはナイアシンアミド配合の医薬部外品クリームを重ねるという組み合わせ方が考えられます。

保湿で角層のコンディションを整えたうえで有効成分を届けるほうが、肌なじみもよくなります。

併用する場合は、テクスチャーの軽いものから重いものへ順番に塗布するのが基本です。化粧水→美容液→乳液またはクリームの順序を守ると、成分同士が干渉しにくくなります。

額のシワ対策でやりがちな失敗と正しいスキンケア習慣

せっかくよい製品を選んでも、使い方を間違えると効果が半減してしまいます。額のシワケアで陥りやすい失敗パターンと、効果を引き出すための正しいスキンケア習慣をまとめました。

塗る量が少なすぎると有効成分が行き渡らない

シワ改善クリームは高価な製品が多いため、つい薄く塗ってしまいがちです。しかし、使用量が少なすぎると有効成分が十分に肌に届かず、期待した効果を得にくくなってしまいます。

各製品に記載されている適量をきちんと守ることが、遠回りのようで確実な近道です。

紫外線対策を怠ると塗ったケアの効果が打ち消される

いくら夜にシワ改善クリームを丁寧に塗っても、日中に紫外線を浴び続けていればコラーゲンの分解は止まりません。日焼け止めは年間を通じて塗る習慣を身につけましょう。

SPF30以上・PA+++以上の製品を選び、2〜3時間おきに塗り直すのが理想的です。

短期間でやめてしまうとシワ改善は実感しにくい

医薬部外品であっても、塗り始めて数日で劇的にシワが消えるわけではありません。真皮のコラーゲンが増えるまでには、肌のターンオーバー(肌が生まれ変わる周期)を何度か繰り返す必要があり、多くの臨床試験では4〜12週間で変化が確認されています。

途中で「効果がない」と諦めてしまう方が多いのですが、少なくとも3か月は継続してから判断するのが賢明でしょう。

よくある失敗改善のヒント
塗る量をケチるパッケージの適量表示を守る
日焼け止めを塗らない通年でSPF30以上を使う
数週間でやめてしまう3か月は継続して効果を判断する
洗顔で肌をこすりすぎる泡で包むように優しく洗う

額のシワを予防するために毎日取り入れたい生活習慣

スキンケアだけでなく、日々の生活習慣を見直すことが額のシワの予防には欠かせません。肌は体の内側の健康状態を映し出す鏡でもあるため、食事・睡眠・運動のバランスを整えることが将来のシワ予防につながります。

良質なたんぱく質とビタミンを意識した食事が肌を育てる

コラーゲンの原料はアミノ酸であり、体内での合成にはビタミンCが必要です。肉・魚・大豆製品などからたんぱく質をしっかり摂り、果物や野菜でビタミンCを補給する食生活を心がけましょう。

  • たんぱく質源:鶏むね肉、鮭、豆腐、卵
  • ビタミンC源:キウイ、パプリカ、ブロッコリー
  • 抗酸化成分:トマト(リコピン)、ブルーベリー(アントシアニン)

睡眠中に分泌される成長ホルモンが肌の修復を助ける

深い睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌細胞のターンオーバーを促進し、ダメージを受けた組織の修復を後押しします。就寝前のスマートフォン使用を控え、室内を暗くして質のよい睡眠をとることが、結果的に額のシワ予防になります。

慢性的な睡眠不足は肌のバリア機能を低下させ、乾燥や肌荒れを招きます。毎日6〜7時間は確保したいところです。

無意識の表情グセを見直すだけでもシワの進行は緩やかになる

パソコン作業中やスマートフォンを見ているとき、無意識に眉を上げていませんか。額にシワが寄る表情グセは、長年の積み重ねで深いシワとして定着してしまいます。ときどき意識して眉間や額の力を抜く習慣をつけると、新しいシワの刻み込みを抑制できます。

デスクワーク中にアラームを設定し、1時間に1回は額をリラックスさせる時間をつくるのもひとつの工夫です。

よくある質問

額のシワ対策に使う医薬部外品はどのくらいの期間で効果を感じられますか?

医薬部外品に配合されたレチノールやナイアシンアミドなどの有効成分は、肌のターンオーバーを通じて徐々にコラーゲン産生を促します。多くの臨床試験では4〜12週間の使用で改善が確認されており、実感までに少なくとも1〜3か月はかかるとお考えください。

効果を感じにくいからといって途中で使用を中止してしまうと、せっかくの有効成分が効果を発揮する前に終わってしまいます。焦らずに継続し、3か月を目安に肌の変化を確認されることをおすすめします。

額のシワ対策で医薬部外品と化粧品を同時に使っても問題ありませんか?

医薬部外品と化粧品の併用は基本的に問題ありません。むしろ、化粧品で肌の保湿を整えたうえに、シワ改善効果のある医薬部外品を重ねると、有効成分がなじみやすくなる場合があります。

塗布する順番としては、テクスチャーの軽い化粧水や美容液を先に使い、その後にクリームタイプの医薬部外品を重ねるのが一般的です。ただし、レチノール配合品は刺激を感じやすい方もいるため、初めて使う場合は少量から試すようにしてください。

額のシワ改善に有効なナイアシンアミドとレチノールはどちらを先に試すべきですか?

肌が敏感な方やシワ改善クリームを初めて使う方には、比較的刺激が穏やかなナイアシンアミド配合の製品から始めるのがよいでしょう。ナイアシンアミドは美白効果も承認されており、シワとシミの両方に働きかけられるメリットがあります。

一方、レチノールはコラーゲンやヒアルロン酸の産生促進という面で強い根拠を持つ成分です。肌が丈夫な方や、ナイアシンアミドで物足りなさを感じた方は、レチノール配合製品へ切り替えるか併用を検討されてもよいかもしれません。

額のシワに効果があるとされるペプチド配合の化粧品は医薬部外品と同じ効果がありますか?

ペプチド配合の化粧品と医薬部外品では、法律上の位置づけと実証レベルが異なります。ペプチドには線維芽細胞への働きかけを示唆する研究がありますが、日本の薬機法ではペプチド配合の化粧品に「シワ改善」の効能表示は認められていません。

医薬部外品は厚生労働省がシワ改善効果を審査・承認しており、有効成分の配合濃度も管理されています。ペプチド配合の化粧品は補助的なケアとして位置づけ、より確かな改善を求める場合は医薬部外品を優先してお選びになるのが妥当です。

額のシワ対策として20代から医薬部外品を使い始めるのは早すぎますか?

20代であっても紫外線ダメージは日々蓄積されており、コラーゲンの産生量は20代後半から徐々に低下し始めます。予防的な観点から、ナイアシンアミド配合の医薬部外品で早めにケアを始めることは決して早すぎるとはいえません。

ただし、20代の肌はまだターンオーバーが活発であるため、まずは紫外線対策と保湿を基本に据えたケアで十分なケースも多いでしょう。シワが気になり始めたタイミングで医薬部外品を導入するのが、費用面でも肌への負担面でもバランスのよい判断といえます。

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この記事を書いた人 Wrote this article

分山博文

分山博文 トータルスキンクリニック院長

2007年東京医科大学卒業。「美容医療はビジネス色が強すぎる」という業界の現状に疑問を抱き、「利益よりも倫理」「不要な施術は勧めない」という信念のもと、大手美容クリニック勤務を経て2021年に福岡市中央区(天神・大名地区)にてトータルスキンクリニックを開院。「誠実な対応・高度な技術・継続しやすい価格」を理念に掲げ、アップセル(高額な施術への誘導)を行わない、患者様本位の美容医療を提供している。